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「ブイゼル…ちょっと助けてほしいんだけど」

僕がツタージャに呼ばれたのは、こういう理由であった。

「な、なにこれ!?」

研究室にラッタがいっぱい!?

「ちょちょちょ・・・何でこれあふれてるんだよ!!」

「なんか知らないけど、裏口のドアが開いていたらしくて…」

「えぇぇ、これ結構大変じゃない?!」

「そうね…どうやって追い出せばいいのかしら」

ツタージャが真剣に考える。

「…どわぁい!!」

ラッタが僕に飛びかかってきた!!

「ちょっとおいお前離してくれよ!!」

「離すもんか」

「ちょっとぉ~…」

えらい迷惑な話だな。

しかもここに三十匹ものラッタがいる。

オーキド博士だったらどうするんだろうか。

「ブイゼルブイゼル」

ゴウカザルが入ってきた。

「これはどういうことなんだ?」

「ごめんよくわかんない」

「…もうなんなんだよ」

ラッタがいろいろかじりだして…っておい!!

「モンスターボールかじらないでくれよ!!つーかそれ僕の!!」

「…どうする?」

「…そんなこと言われても…」

さらに。

「ねー、ポッポ入ってきた!!」

「もうやだよ何でこんな初期のポケモンいっぱい入ってくるんだよ!」

「…いーやーーーー!!」

ツタージャが絶叫した。

いわゆるふんというものをかけられてしまったからだ。
























「何とかしようか」

「そそそそうね」

ツタージャは震えている。

ポッポにおびえているようだ。

「じゃあ、もう俺寝てきていい?」

ゴウカザルが言った瞬間、ツタージャと僕は両方から平手打ちを食らわした。

「もうやめようそういうの」

ほっぺたを抑えながら、

「じゃあもうブイゼル頑張れ」

そういうなり、走って退散した。

「逃げやがった」

「じゃあもうふたりでがんばるしかないか」

ラッタとポッポの排除に数時間かけた。


















めんどくさかった。

それ以外、なんでもない。


ツタージャは、なぜか僕の視界の中にいた。

見ようと思っているわけでもなく、でも、なぜか。

今は研究所の室内にいる。

ちょうどケンタロスたちが走る牧場的な何かがとってもよく見える場所だ。

ちなみにほっぺたの痛みが引かないから、僕は今ほっぺに湿布を貼っているのだ。

それでもまだ痛い。

治らないから困るんだ…

その時だった。

僕の心臓が、突然、ドクンと大きな音を立てて動いたのは…

「痛っ!?」

急に頭がふらついた。

何だこれは。

目の前のものがどんどん数を増やす…。

そして僕の目の中はぐちゃぐちゃと何かが映っているだけだ。

もう何も見えない状態に陥った。

ドサリ、と大きな音をたてたかどうかは知らないけど、僕は突然意識を失った。

「ブイゼル!?」














これは何の病気なんだろう…。

意識が少しずつ戻ってきた。

「…ん…」

目を覚ましたら、サトシ、ピカチュウ、ゴウカザルがいた。

「おいおい大丈夫かよ」

ゴウカザルが言った。

「…うん、なんとか…」

また心臓がドクンと音を立てる。

「…うっ…」

自分の呼吸が荒くなるのを感じた。

「…エテボースとかはいないの?」

「さぁな…そういえばさっき、ツタージャとどっか行ってたぞ」

「え?」

「よく知らないけどな」

何でエテボースはツタージャを連れてどこか行ったんだ?

気になるけど…

心臓は、ドクンドクンと痛みを増していく。

もうさすがに倒れこそしないけど、歩くには無理がある。

「なんなんだよこれ…」

「俺もわかんないけど、一応オーキド博士が調べてるから」

ゴウカザルがほほ笑んだ。

「ブイゼル、あんまりムリすんなよ」

サトシは部屋を出て行った。

「なんでいきなり倒れたんだか…心当たりない?」

「心臓がズキってなって、そのあと何も見えなくなったんだけど…」

「…オーキド博士を信じよう」

それまで僕はベッドから出ることを禁止された。(ゴウカザルによって)


















一方エテボースとツタージャ。

「ねぇ、どういうつもり?」

「は?」

エテボースの問いかけに首をかしげるツタージャ。

「あたしとブイゼルが付き合ってることも何もかもお見通しなんでしょ?じゃあなんでブイゼルと接近するの」

「はぁ?何言ってんのよ…私は第一スパイでも何でもないのにお見通しとか言われても困るわ。それに、付き合ってることも知らないわ…というか、今知ったんだけど…」

しまった。

エテボースはついに、二人の秘密をツタージャに話してしまった。

といっても、ゴウカザルも知ってるけど。

「…じゃあ何で近づくのよ」

「境遇が同じだから…といっても過言ではなさそう」

そういうなり、ツタージャはエテボースのもとを去った。

境遇が同じ…

それは一体、どういうことなのだろうか。

それは今後、明らかになる!!

















次回、ブイゼルの病名が発覚&ブイゼルの頭の中が大変なことに、と悲惨なブイゼル祭り!!

お楽しみに―★

「…アクアブレア病!?」

何でこんなもんにかかってんだろうか。

そしてこのアクアブレア病というのは、体内の水分が減り気味で、水タイプの技が出しにくくなってしまうという病気だ。

要するに、僕は病気にかかって弱くなったのである。

しかもこのアクアブレア病というのは進行すると下手すると水タイプのポケモンにとっては死に至るとも聞いたことがある。

作者は主人公である僕に死亡フラグでも立ててんのかしら。

「なんでそんなに重い病気に…」

「でも軽傷らしいから、できるだけ安静にしとけ、だとさ」

心臓が痛くなったのはそれなのか。

(ちなみにアクアブレア病は実在しません、たぶん)

















朝。

「ブイゼル朝だぞー」

僕は普通に起きたつもりなのだが。

手が見えない。

体も見えない。

見えるのは…浮き輪だけ!?

「おいブイゼル…うそだろ!?」

起こしに来たゴウカザルは凍りついた。

「なんで浮き輪が浮いているんだよこれなにー!!」

みんなが部屋に押し込んできた。

「え?え?なんでこれ浮いてるの?」

ピカチュウが不思議そうに僕の首を見る。

「よくわかんないよぉ…」

僕がつぶやいたら、

「ブイゼルの声が聞こえた!!見事に浮き輪だけ残してどこかに隠れてるんだな!?びっくりさせようったってそうはいかんぞ」

「だから違うって」

そしてみんなは僕の声を完っ全に無視して僕を探し始めた。

ここにいるのに。

もうやめてくれよこれはなんなのさ。

















この無謀な捜索作業は打ち切られた。

「むむむ…どこにいるんだホントに…さっきのは神様の声なのだろうか」

「だからここに…」

自分の手を見た。

「あ、戻ってきた」

「おいおいおいおい待て待てほらほら此処にブイゼルのちぎれた手が…」

「え!?ブイゼル殺されたの!?うわぁ~んブイゼル」

誤解しすぎだよいい加減気づいて!

その瞬間、僕は元の体に戻った。

「あれ、生きてた」

「もう何でこんな目にあってんだよ…」

僕は具合が悪くなり、寝た。

正確には、いじけたのであった。



















次回、野生のポケモンがオーキド研究所で大暴れ!!

次回もお楽しみに。

「ツタージャ、もうご飯だよぉ」

ピカチュウがツタージャを呼んだ。

「わかった」

それにしてもあのツタージャ、ヤケにツンツンだよなー…

デレがないというか。

しかし僕は見た。

ツタージャのデレを。(そんなにすごいことでもないんだけど…)

「おーいツタージャ、ご飯食ったら練習しようぜ!!」

サトシに呼ばれた時のツタージャは、満面の笑みで

「タジャ!!」

と答えたのである。

あ、デレたな、と僕でもわかった。

「そうだ、ブイゼル、お前も久しぶりに特訓しようぜ」

「…ブイ」

とりあえず返事だけはしたんだ。

でも、何で僕なんだ。

草タイプとか相性悪いしほっぺたまだジンジンするんだよね(前話参照)

さぁどうしようか。

まぁ、やってみようかな…

















「よしっ、ブイゼル、まずはソニックブームだ!ツタージャは俺の指示なしで攻撃していいぜ」

「タジャっ!!」

昨日のお返しをしてやりたいところだ。

「ブイブイーっ、ブーイ!!」

多分アニメとか見てたらわかるでしょ、僕ソニックブーム出す時結構こういう声出すもん。

そしてそれを連発。

みだれソニックブームは、ツタージャに二回ぐらいヒットした。

「まぁまだまだだからな」

サトシが注意を促すような感じで僕に言う。

そしてツタージャはリーフストームを繰り出した!!

相当レベル高いよねこの人。

さて。

僕も久々本気モードに入ろうかな…

「ブイーっ!!」

「水の波動プラス冷凍パンチ!!」

「でぇぇぇえええい!!」

水の波動を冷凍パンチで壊して自分の身をガードする防御技を、とっさに編み出した。

「おぉやるじゃんブイゼル!!」

「ブイ!!」

リーフストームを全部はじき、

「冷凍パンチ!!」

「ブイブイーっ、ブイブイ!!」

何言ったのかは僕にもわからないけど…

とにかく、僕はツタージャに冷凍パンチを当てて、勝利したのであった。

「さすが、やっぱり強いなお前は!!」

「…」

そのことに関して僕は黙った。

強いかどうかはまだよくわからないんだ…

とりあえず、昨日の仕返しはできたのである。

ちなみに、まだほっぺたは痛かった。

「おーい、ブイゼル―!!」

僕を最初に捕まえたトレーナーは、初心者だった。

しかしとても仲が良いコンビであった。

みんなのことを第一に考える、優しい人であった。

「ご飯だよー」

料理の腕は一流で、いつもおいしいご飯を作ってくれてたっけ。

しかし突然、彼はいなくなったのである。

僕だけを残して。

理由は、火山の噴火に巻き込まれてしまい、山で遭難してしまったからだ。

サトシとの旅を続けている間にも、そいつと遭遇したりもした。

けれど、もう、顔には…

僕のことを忘れてしまっているとしか言いようのない、あからさまにひどい目つきで僕を見ていた。


















次に僕を捕まえたのは、ちょっとナルシの入った人だった。

けれどトレーナーとしての腕は一流、ポケモンリーグでもじゃんじゃん勝ち進んでいけそうな人だった。

僕は最初のトレーナーとの突然の別れをまだ受け入れきれていなかった。

しかし、この二番目はきっと大丈夫。

そういう風に思ったのだ。

でも、それはすぐに風に流されるように、僕は川に捨てられた。

「お前は不必要だ」

そういって、モンスターボールから出された。

その時の屈辱、憎しみ、すべてが僕に強さを求めた。

だから、聡・光と出会うことになるあの川で、特訓を続けたのである。
























もっと強く。

それが僕のモットーであり、生きがいであった。

崖のぼりは楽勝。

ジャンプは10メートル。

なんでもできるようになりたい!!

それが、ぼくをずっと押し立てていた。

そして、ヒカリとの出会い。

最初はもちろん嫌だった。

だって、二回もトレーナーに見捨てられたんだから。

言うことを聞く気もなかった。

いうなれば、反抗期のようなものだ。

でも、ドータクンとのバトルでぼろ負けして、そのあとロケット団に捕まった時に、僕はいろいろなことに気が付けた。

それがなんなのかはよくわからないけど…

でも、何かが変わった。

それから後、僕はヒカリに徐々に心を許していった。

そして、エイパムとの交換。

サトシとともに、高みを目指して頑張れた。

ヒカリの時には出ることなく終わったコンテストにも出たり…

シンオウリーグでも、自分のベストで戦えた。

だからここに僕がいる。

そのことを、忘れないまま生きていこう、と僕は思った。

















「ふぁ~…眠いなぁ」

横に、ゴウカザルがひょっこり現れた。

「おぉ睡眠不足かよおい」

「そういうゴウカザルだって眠そうじゃんか」

「いや、俺はちゃんと9時に寝て7時に起きる」

「小学生じゃん」

何て会話をしたが…

今、ギャグの嵐が、ぼくに吹き寄せようとしていた。



















「おいブイゼル、どうしたんだ!?」

これはある日のこと。

僕が、動かなくなった。

「おいブイゼル、ブイゼルってば」

「なんだよぉ~もう少し眠らせてむにゃ―」

さて、ぼくに何が起こったんでしょー。

次回に続く!!

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