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ボルトの家系

2012年07月10日
吹奏楽部の部室のある3階から一個下の2階。

此処には生徒会室がある。

そして生徒会長が、大きな椅子に座っていた。

ピカチュウなのだが、ボルトと違ってくせ毛だ。

そのピカチュウの名を、ライトという。

ボルトと双子な関係だ。

しかしなかなか似ていない。

吹奏楽部の天才トランぺッターと野球部兼生徒会執行部の生徒会長。

不思議な双子さん達だ。












「おい、この資料誤字があるぞ!!」

「なんでそんなことで叫ぶんですか会長」

「だってこういうの見つけたらうれしいんだもん!!」

言葉遊びが大好きなライト君は、ボルトとは別に育てられてきた。

秩序の守られた家系で育ってきた。

ボルトと別れたのは生後間もなく。

ボルトとライトの両親は、交通事故で共になくなっている。

そんな悲しい過去があることを知らずに平穏に育ってきた。

最近、ボルトがその事実を知って、さらに双子がいるということも知った。

ゲームばっかりしていたボルトとは対照的に、ずっと真面目に本を読んできた。

だから頭もいい。

ボルトは平凡すぎる…。

笑えるぐらいに平凡なのである。

ただ、肩書は「天才トランぺッター」というだけだ。

しかしライトも変なことは変だ。

言葉の間違いですぐ笑う。

朝礼で校長先生がかむとすぐ笑う。

ボルトの顔を見るだけで笑う。

結構笑いじょうごなのである。

お笑い番組もろくに見たことがないライトも、笑いまくるのである…。























「ただ今ぁ~」

ボルトが家に帰った。

「お帰り」

家にいるのは姉、ライチュウのチカである。

実質この二人暮らし。

でも姉はもう成人しており、普通に働いているので暮らしは全然いい方だ。

「今日の晩御飯は?」

「オムライスよ」

「やったー!!」

しかも凄腕だ。

料理がめちゃくちゃ上手らしい。

そしてオムライスにはボルトはケチャップを大量にかける。

だから、ケチャップのストックの量はハンパない。

「いっただっきまーす!」

そのおいしそうに食べる姿を見るだけで、チカの頬はほころぶのであった。


「…ごめんっ!!」

部活の朝練にやや遅れてきてしまったボルト。

部長であるブイゼル…ルークに謝った。

「…いぃよもぉ…次からは気を付けてよ。まぁ寒いからね、布団から出たくないのはわかるけどさ」

「…はぁい」

「そう言えば今日うちのクラスに転校生来るって」

「ルークも転校生だよね」

「あれ、そうだっけ?」

「しっかりしなよ部長ったら…」

「寝坊した人に言われたくないな」

「ごめんってば」

そして楽器を片付ける。

ルークはサックス担当。

partリーダーであり、また感性もいいのでとても先輩方からの評判がよく、部長に選ばれた。

一方ボルトはめきめきと力をつけてきた。

才能よりも努力が実る形で、今やポケモン学園の吹奏楽部の天才トランぺッターといわれるほどうまい。

しかし、学習面、生活面においてはごくごくどこにでもいそうなピカチュウなので、トランペットという目立つ楽器のくせに存在自体は目立たないのである。

これで転校生なんて来たら、それがもし電気タイプだったら、僕の存在はますます薄れるだろうな…。




















ボルトの予想は的中した。

「転入生のパチリスです。名前はリースです!!よろしくお願いします!!」

まんまじゃないかその名前…。

しかしそのパチリスは雌であった。

…つーか僕の存在薄れるのは決定的だよねこれ。

何で電気タイプなんて来ちゃうのさ!!

ただでさえこの存在感1パーセントの地味な中学生(部活を除く)が…。

ボルトはがっくりと肩を落としていた。

「…はぁ…」

「じゃあそこの寝癖ツキまくりピカチュウの隣ね」

作者…なんでこんなベタな展開にしてくれてんのさ…。

「…よろしくね」

横に向かってほほ笑んでくれたリース。

「…あ、よろしく」

…かわいい。

想像以上にかわいくないかこの子。

…これは恋?

いや、まだ僕には早いよ。

だって…まだドキドキしないもん…。

ってしてるよ!?ドキドキしてるよ!!

作者、完全に僕のこと操って遊んでるよねこれ…。




























「リース、なんの部活やるの?」

「…吹奏楽部よ。私これでもあっちではクラリネット吹いてたんだから」

「ほ、ホント!?」

ボルト、ルーク、そしてポッチャマのポールは目を見開いた。

ポールは吹奏楽部の打楽器担当。

いわゆるパーカッションというものだ。

今やポケモン学園に誇れるドラマーになってたりする。

「…やったぁ!!」

部長のルークは当然大喜びである。

「あ、僕ルーク。吹奏楽部の部長やってるの」

「俺はポールだ!!パーカッションのドラマーだぜ!!」

「え、あの教室のドアからこっち見てるのがエドとミミ。」

ボルトとポールがルークに言われてドアの方を向くと、そこにはナエトルのエドと、ミミロルのミミがいた。

「来てたの?」

「いや、転校生観に来たんだけど…男子じゃなかったんだ…」

「あら、女子は大歓迎よ?」

ミミが当然のように言う。

「だって、この学校男子の方が少ないもん」

「3人だけじゃないの」

「…まぁまぁ…」

リースはそんなエドとミミを見て、にっこりとほほ笑んだのであった。



























「え?なにそれ!!」

ルークが家に帰るときに大笑いしたのは、ボルトの初恋(?)のことだった。

「笑わないでよぉ!!」

「だ…だってボルトが!!!あハハハハハ!!!」

「笑いすぎーっ!!」

ついにボルトも一緒に笑ってしまった。

今日はおかしな一日だ…と思いながら。


























また明日から、新しい一日が始まるのであった。

朝。

目覚ましがうるさく鳴る。

「あぁもう、うるさいなぁ…」

その目覚ましを止めて、ベッドから起き上がる。

「…やっば、もう7時半!?」

ボルトは急いで朝食を済ませて、歯を磨き、癖のついた前髪(?)を直そうとするが直らない。

あぁもうなんだ、といった感じで前髪は放置して、玄関を出た。

それがボルトのいつも通りの朝だ。

ボルトは只今中学二年生。

なかなか勉強もできないアホ野郎だ。

ただ吹奏楽部ではトランぺッターとして活躍中のピカチュウである。

この物語は、平凡ピカチュウのボルトとその仲間たちの最強学園ストーリーである!!

「…なんで俺はこんなポケモンになってんだよ!!」

トオルは顔をしかめた。

「私なんて、そのまんまサクラに…」

サクラは肩を落としている。

その光景は、リンクとシャインからしてはとても変な光景に見える。

どう見てもポケモンなのに、なんでそんなに落ち込んでいるのかわからない。

「なんで落ち込んでるんですか?」

リンクが聞いた。

「私たち、人間なのに…!!」

サクラが泣きそうな顔で言う。

「ニンゲン?なんだそれは」

シャインが顔をゆがませた。

「…人間…だった…」

リンクがつぶやいた。

「まぁ良くわからないけど…とにかく、俺んちこいよ」

シャインが二匹を案内した。

















シャインの家は、大きな木の中にあった。

でも、家には見えず、何か企業っぽい感じ。

「ここが本当にあなたの家なの?」

サクラが聞いた。

「あぁ…俺が経営するある仕事のギルドでもある」

中は広々としていた。

階段がらせん状にぐるぐる上がっていて面白い。

「…ねぇ、シャインさん、この掲示板何?」

「それか…それは、依頼掲示板だ」

「「依頼掲示板??」」

二匹が声をそろえていった。

「…俺の仕事の名前は、探検隊のギルドの親方を努めること。でも本当の親方はあっちのトレジャータウンにいる」

「じゃあここは…」

「いわゆる、別館プクリンのギルドってことだな」

「探検隊ってどんなことするんだ?」

「…そうだなぁ…困ってるやつを救助したり、宝物を探したり、お尋ね者を倒したりするんだ」

「かっこいい!」

「いいなぁそう言うの」

シャインは、二人の目を見ていった。

「お前ら、探検隊やるか?」

「え?」

「こっちも少々人手不足だからな…でも、強制はしねぇぜ」

「…あたしやりたい!」

「俺も!!」

「じゃあ決定だな…」

シャインはにこにこしながら、階段をのぼり、二人をまた案内した。

















「チーム名はどうする?」

「…えっと…」

次回、サクラとトオルのチーム名が決定する!!

プロローグ

2012年07月10日
静かな砂浜。

二匹のポケモンが気を失っているところを、たまたま通りかかったコリンクは見つけた。

「…だ、大丈夫ですか…?」

恐る恐る顔を覗き込んだ。

そこには、チラーミィとチェリムが倒れていた。

「…反応がないなぁ…大丈夫なのかな」

コリンクは背中にチラーミィを、頭としっぽでバランスを取りながらチェリムをのせて、ある場所へ向かった。
















「ここなら安全だよね」

一人でつぶやいた。

そこは静かな洞窟の中だった。

「…おーいリンク、ここにいたのか」

「シャイン!!」

コリンク…リンクの友達、シャインことブイゼル(光っていないが)がそこへやってきた。

「ん、誰だそいつら」

「砂浜で倒れてたの」

「よく運べたなぁー…こんな地味なところまで」

「でも困ってる人は見過ごせないんだ」

「俺もさ」

シャインはにっこりとほほ笑む。

「とにかく、手当てしねーと…傷がたくさんある」

「そうだね」

リンクは、森の中に木の実を取りに行った。

その間。

チェリムが、うっすらと目を開けた。

「…うぅ…ここはどこ?」

「お、目ぇ覚めたか」

「…うわぁぁぁぁぁああ?!」

チェリムは後ろに少し引き下がった。

何て言ったって、驚くのに無理はない。

目の前にいるのがブイゼルなんて…。

さらに。

「な、なにこの手!!」

シャインからしたら何で驚いているのかわからない。

「…ねぇ、私どうなってるの!?」

「なに…って、普通のチェリムじゃない?」

「チェリム!?」

そのチェリムは、とにかく焦っていた。

「あ、トオルは!?」

チェリムがきょろきょろするのを見て、シャインは聞いた。

「…あの…どちら様で?」

「え?えぇぇえええ!?やっぱり、しゃ、しゃべってる…」

「なんで?喋るのが普通じゃないの?」

「だって、ポケモンがしゃべってるなんて見たことないし聞いたことないしそんなのゲームの中の話じゃない!!」

「…おいおい、何言ってんだよ、あと名乗れ」

「私は…サクラ」

「…いい名前だな…どこから来たんだ?」

「…分からない」

その時、チラーミィも起き上った。

「…うぅ…俺は…」

「あ、目ぇ覚めた!?ねぇ、トオルなの?」

「…あぁ…俺はトオルだ…お前誰…つーか人間じゃねーのに話しかけても無駄か」

「あたしよ、サクラ!!なんかこうなっちゃってて…」

「え、マジ、お前サクラ!?まんまサクラじゃんか!」

「うるさいわねぇ…そういうあんたも、なんかやけにかわいくなっちゃってるわよ!!」

「うるさーい!!静かにしろ!!」

シャインが叫んだ。

そしてリンクが戻ってきた。

「あ、起きたんですね!!」

「そうそう起きたんだけど様子が変でよー…何とかしてくれリンク~!!」

「そう言われても…はい木の実」

木の実を二匹にあげる。

二匹はつぶやいた。

「なんであたしたち、ポケモンになっちゃったんだろう…」

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