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「…はぁ…」

みんな静かに寝息を立てて…と入ったものの苦しそうにだが、だれ一人起きない。

僕だけ暇というこの無駄な時間を過ごしながら、僕の頭の中にいろいろな声や出来事が入ってくる。

人工呼吸でツタージャの一命を取り留めたはいいけど…

どうして、どうして僕はエテボースを裏切るようなことを…

でも、僕はエテボースのことたぶん大好きなんだよね…

あぁ憎い。

恋愛に疎い自分が憎いわ。

もう、なかったことにしちゃおう☆僕はポジティブシンキングということで、さらりとなかったことにすることにした。

大丈夫だ。

誰も…ん?

そういえばオーキド博士は見てたよ…ね?

まぁ言わないさ、大丈夫大丈夫…

僕はポジティブに生きることにした。


















次の日起きたらみんなの顔に赤い点々がたくさんたくさん…

「うわぁあぁあああ!!なんなんだよこれ!!」

僕は大声を上げた。

僕にも赤い点が一つ…と思ったらニキビだった。

くそぉ…でも僕はまだ肌が若いということにしておこう。

腕が不自由だと何一つ満足にできない。

もういいや…特訓でもしに行こう。




















アクアブレア病なのはわかってる。

しかも聞いたところによればこの病気は一度かかったらなおすのが困難であるらしい。

つまり、不治の病だともいえるのだ。

そんなの嫌だよ。

でも、そういう病気なのだ。

仕方がない…。

水鉄砲の威力も、アクアジェットのスピードも…何もかもが落ちていた。

でも、それ以上に落ちていたのは、自分の心身の状態であった。

今、僕の体の中は不安定なのだ。

何だか、つらい…。

どうしよう…

僕は、空を見上げた。

みんなが治らないかなぁ…

早く治らないかなぁ…

みんなとしゃべりたいし、バトルもしたいし、昼寝したいし、ご飯食べたいし…

謎の病気によって、日常を奪われたような気がした。

でも、自分には闘志というものがないのか?

今、何も戦おうとかそういう気持でもない。

何のために特訓に来たのか、逆に自分に聞きたいぐらいだ。

もしかして、僕は逃げてきてしまったのではなかろうか。

病気という困難、苦悩から。

そんなんじゃだめなんだ…

みんなのために、できることをしなくちゃ…!

その時、茂みからガサガサ、と音がした。

「なんだろ…え?」

突然、口を何かに覆われた。

そして、僕は、茂みの中へ…それどころか、研究所から少し離れたところにある静かな洞窟へと連れていかれた…。
















目が覚めると、

「あ、目ぇ覚めた?」

これ、見たことあるポケモンだなぁ…。

何だっけ。

「“fighting spirit”ってどういう意味だっけ」

「…闘志じゃなかった?」

「そうか、それかぁ…」

そして、僕は聞いた。

「君は誰なの?」

「僕?僕はアグノム」

「えぇぇぇぇぇえええええ!?」

「リッシ湖で、僕のこと見えたでしょ?君のことも覚えてたよ」

「うそぉぉぉぉぉぉおおお!?」

「そんなにびっくりしなくてもいいじゃない…」

どうしてここにいるのか、と聞こうとした。

そしたら、

「僕がここに君を連れてきたのは、君を助けるためだよ」

「ぼ…僕を…??」

相当悩んでたでしょ、とでもいうように、

「君を、苦悩のどん底から引っ張り上げるためさ」

「苦悩のどん底…」

その瞬間、僕の頭の中には、さんざんの言葉がよぎった。

人工呼吸のこと。

謎の病気のこと。

自分の弱さのこと。

自分への憎しみのこと…

「…苦悩のどん底に、僕はいるんだね」

「でしょ」

「じゃあ、どうやって僕を苦悩のどん底から引っ張り上げるのさ?」

「此処の近くにまた更に大きな地下道っぽいものがあって…その下にね、願いをかなえる滝があるんだ」

「願いをかなえる…」

「昨日から今日にかけてあった出来事全部を取り消して、いつもの日常に戻すために」

「戻す…」

僕は、決意した。

必ず、みんなを救う!!


そういうわけで僕は薬草のあるといわれる谷に来たのだ。

というか幻の薬草ってなにー!!

図鑑だけ持ってきて、一生懸命探した。

「邪魔だ邪魔だ、どけどけぇ」

などと通行を遮られることもしばしば。

何処にあるんだ…すごい薬は!!

気が付いたら、エアームド達に追い詰められて、谷から落ちそうになっているベタな展開に。

「えぇい、もうヤケだぁ!」

とか言って、谷から落ちてみる。

あぁ…何もなかったなぁ。

僕の人生は、サトシ色だった…

黒い目の、サトシ色だった‥

それがどうよ、今や茶色い目のサトシじゃないか。

何もかも忘れてるような瞳だから、僕は悲しい顔して、静かに谷から落ちていけるのかなぁ…。

いや、自分から落ちたんだ☆

そして、僕はふかふかの何かの上に落ちた。

薬草だった。

なんと、図鑑とまったく同じ薬草であった…。


















何とか救助してもらい、オーキド研究所でその薬草をすりつぶした。

そしてツタージャに飲ませた。

ここまではいいんだ。

でも、無事なポケモンは僕しかいない。

他のぽけもんが、突然元気になって、人工呼吸なんてできるわけない!!

でも…エテボースがいる…

僕はどうすればいいんだろう…

でも、オーキド博士は、お前しかいない、としか言わなかった。

僕は、ツタージャの口に自分の口を合わせて、人工呼吸をした…。




















そして、僕の頭の中が、真っ白になった。




















エテボース…僕はどうすればいいんだろう…


















次回、治らぬ病気にかかったみんなを、ブイゼルは助けることができるのだろうか!?

次回に続く!

「なんでこうなったんだ」

僕がつぶやいた。

その理由は…。












そう、ある朝。

いつもなら走っているケンタロスたちが、今日はいなかった。

あれ、どうしてだろう。

そう思って、僕はケンタロス約30頭ほどが詰まっている小屋を見に行った。

すると、ケンタロス全員倒れているではないか。

どうしてだかわからなくて、熱測ったらものすごく熱があって…小屋がすごく蒸し暑かった。

そして外に出て知らせに行く途中で、ドダイトスが寝ていると思ったら、ケンタロスと同じようにすごい熱が。

「どうしたの!?」

と僕は聞いた。

「…よく…分からない…」

ドダイトスはそういった。

さらに、ツタージャやゴウカザル、ドンファン、ベイリーフ、ヨルノズク、ピジョット、ゼニガメ、ピカチュウ、エテボース…

かなりの数のポケモンが、というか全員、ぼくを除いて謎の病気にかかっていたのだ。

「…さて、どうしよう」

苦しそうに寝ているエテボースやツタージャやゴウカザル…

みんな苦しんでるのに、なんで僕はこんなぴんぴん(といっても骨折してるけど)なんだ。

その時、ツタージャの熱は急上昇したらしい。

オーキド博士はそれに気がついて、治療室に連れて行った。

とはいうものの、ジョーイさんとかがいないから、何をするのかわからず、オーキド博士は電話している。

治療室の中で苦しむツタージャを見ているだけで、こっちも苦しくなる…

あれ?なんで僕はこんなにツタージャの心配を…

エテボースがいるのに。

エテボースだって苦しんでるさ。

でも…でも…

何だ、この微妙に不安定な気持ちは。

オーキド博士が受話器を置いた。

「…むぅ…これは…」

オーキド博士は僕をちらちらと見ながら、迷うような表情をする。

「どうやらこの病気、ほかの病気と重複してかかることはないらしい」

そうか、僕はアクアブレア病なのか。

更に骨折も。

だから一人だけ…

「ツタージャは、今のままでは死んでしまうんだが…」

そんなに重いの!?

何なんだこの病気…

「助ける方法がたった一つ…」

何だ…。

「幻ともいわれる薬草を刻み、すりつぶし、飲ませた後に…」

僕は唾をのんだ。

何を言われるんだ。

オーキド博士は、ぼそりといった。

「人工呼吸」

…え?

「ポケモン同士でないと意味はないらしい…」

…え…!?











次回、ブイゼル大苦戦の薬草摘み、そして…

誕生日に骨折してしまった僕は、腕に包帯ぐるぐる巻きという状況である。

「ごめんブイゼル」

「悪気がないのはわかってるからいいよ…」

ドダイトスまで僕に乗ってくるとは思わなくて。

「痛い痛い」

最悪の誕生日だった。

ケーキもろくに食べてなくて…。

テンション下がりまくりだって。
















「あ、雨だ」

ドダイトスがつぶやいた。

ケンタロスたちは小屋へと戻っていく。

「…ほやぁあああ」

僕は一人テンションが上がっていた。

さっき下がったのに。

僕は外に出た。

というか、もう体が動いた。

「…雨だぁぁあああ!!」

テンションマックスでゼニガメやキングラーとともに舞い上がっていた。

そこにミジュマルが加わって、さらに盛り上がって…。

他のタイプのポケモンたちは、静かに、冷たい目で、こちらを見ていた。



















「そういえば、梅雨だったね」

「もうそんな時期かぁ」

何て梅雨らしい会話をして、

「雨といえば、やっぱりアニメの第一話のピカチュウとサトシの出会いだよねー」

おいおいおいおいどういう話行ってるんだ。

突っ込んでしまった。

「そうだよね、あれは感動的だね…雷までなったけど」

「もうあれは最高だったよ…今ピカチュウ十何歳だっけ」

「実際年取ってないんだよねー…うらやましい」

なんて話まで。

アニメの話に行くのはやめろ、と僕は心の中で突っ込んだ。


















次回から、オーキド研究所で病気がはやる…!?

久々の連続もの!!

ブイゼルのとった行動も注目!!

次回もお楽しみに!!

「なんか転がってきたぁぁぁ!!」

僕が研究室に入ろうとしたら、大きな岩が研究室の中から出てきて、僕は追いかけられて…。

危機一髪外に出たら、足元にひもがあって、上からたるが落ちてきた。

ちょうどそこにエテボースが通りかかったからそっちに行こうとしたら、上から札束が落ちてきた。

金持ちになった気分でコンビニ行ったら札束偽物で。

コンビニの店員が警察官呼んで事情聴取されて。

なんかもう世界最強の不幸な男のオーラを出しながら街を歩いていたらチャリと衝突して。

浮き輪が破裂して。

歩き出したら突然石があってけっつまずいて膝すりむいて。

ばんそうこう持ってたはずなのになんかなくて。

尻尾があっけらかんに恐ろしく踏みつぶされて。

とつぜんなんだか車に乗せられて。

誘拐されて。

監禁されて。

縄で縛られて。

蹴っ飛ばされて叩かれて。

出血騒ぎになって。

血が鼻について血のにおいがして。

これはさすがにヤバいんじゃないのかと思って水鉄砲でぶちかましてどこかに行って。

外に出たら原っぱで。

深呼吸してたら有毒ガスすって。

お腹と頭と心臓と肺が痛くなって。

救急車で運ばれて。

研究所に戻ったのはもう夕方で。

疲れて帰ってきたら足にまた紐があって。

引っかかって上からたるが落ちてきて。

僕は疲れすぎて倒れた。
















「…あ、目ぇ覚めた?」

「うぅ…」

「ボロッぼろだなおい」

「そうですねー…」

もう僕には何の気力もなかった。

疲れがピーク&酸欠。

「痛い…」

「そうそう」

みんながにやにやしながら言った。

「ハッピーバースデーブイゼル!!」

「…へ?」

そういえば、今日は僕の誕生日だったな…

みんなが飛びかかってきた。

てかドダイトスまで!?

「ギャァぁぁぁぁぁあああああ!!」




















最終的に、僕は骨折した。

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