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俺なんかのために

そうだ。

俺のせいで、多くのポケモンが死んだ。

俺の力に巻き込まれたもの。

俺を捕まえて力を手にしようとして死ぬもの。

俺を生かそうとして犠牲になったもの…。

そんな人たちがいっぱいいた。

俺を守ろうとして、凶弾に倒れた人たちが…。

俺がこの世に生きてたら、また誰かが死んでしまう!!

大事な人が…。

消えちゃう…

泡のように…。

ノゾムやマリンが、俺の力に巻き込まれたりして、命を落としたりしたら…。

「いやだ」

そんなのいやだ。

大事な人が自分なんかのために…。

こんなに生きてる価値のないただのブイゼルのために。

死んだらどうするよ!!

倒れたら…。

みんな、いなくなったら…!













「イル…イル!!」

ノゾムはイルを探し続けてた。

もう、考えをまとめて、決断したのは、ドリームハンターズの建物だった。

檻がある部屋…。

その中に、イルはいる!!

ノゾムは、その部屋を見つけ出したのである。

「待ってよノゾム…」

「仲間のピンチの時こそ、俺は頭がさえるので」

マリンとコーザが息を切らしていても、ノゾムはドアを開け入っていった。

「…イル…?」

きょろきょろしていた。

暗くてよくわからない。

イルは…。

イルはどこに…!!

ノゾムの耳に、声が聞こえた。

泣いてる声。

「…イル?」

暗さに慣れてきた目をごしりとこすった。

「ノゾム…」

イルが初めて見せた涙だった。

ノゾムは、

「大丈夫だったか?」

「…ノゾム…もしも俺が、俺なんかが、ノゾムたちを巻き込んだりして、倒しちゃったりしたら…」

「…俺は、イルの友達なんだからさ、そんな弱気なこと言うなよ」

ノゾムはニコリとほほ笑んだ。

「まぁ、イルなしでも生きていけるぐらいの体力は付けないといけないよな、こういうことしょっちゅうあるだろうし」

ノゾムの背中が、たくましく見えた。



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