「じゃあちょっと行ってくるね!!」
「いってらっしゃーい」
今日はマリンは一人でお買い物である。
それで俺は何をしてるかといえば、まぁ…留守番だ。
はっきり言って具合悪いので、マリンには悪いけどのんびりここで過ごすことにした。
でもまぁ、イルもいるから大丈夫だろう。
「なぁおいノゾム」
「あ?」
「実はさ…俺、マリンと同じ幼稚園だったんだよな」
「え?」
「ほら、水タイプだし…アクアマリン幼稚園に通ってたんだ」
「そうなの!?」
「そんな驚くなよ」
「驚いたつもりは…」
「驚いてるって」
ニヤニヤとイルが笑った。
実際イルの体力もそこまで回復していないのでイルも留守番。
その時、俺たちの部屋のドアが開いた。
「ちょっと、入ってもいいか?」
親方だった。
「いいですよ」
と俺が答えた。
「マリンについての話をしたい」
「突然どうしたんですか?」
「マリンがいないうちに、と思ってね、盗み聞きなんてされてたら親方失格じゃん」
「すでに俺らに話してる時点で失格じゃないですか」
「まぁまぁ」
「なんでだよ!」
「…それでマリンの話っツーのは…」
「イル君、君はマリンと同じ幼稚園だったんだよね?」
「はい、小学校も同じでした」
「そこであったこと、知ってるかい?」
「もちろん。忘れてません」
親方はふぅ、と一息ついた。
「じゃあ君は知ってるのか。…で、ノゾム君には話さざるを得ないのか」
「…なんのことを?」
「マリンの身にあった事さ」
親方は話し出した。
マリンは、トレジャータウンに住んでいる子で、私もとても可愛がっていた。
幼稚園の頃は、友達も連れてきて、楽しそうだった。
小学校に入っても、遊びに来た。
父親はこの町の市長だった。
とてもおおらかで優しくて、ついでに僕の飲み仲間だった。
マリンは父親譲りの優しさに加えて、リーダーシップも取れる奴だった。
…そう、あの日までは。
《パアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァンン!!!!》
市長…すなわち、マリンの父は、ある日、町の青年に打たれて死んだ。
マリンは学校に行けないほど落ち込んだ。
あの人気だった父を殺す反逆者がいたこと。
そのことに大いに傷つき、悲しみ、恨んだ。
「…マリン、学校に行きなさい」
何度母に言われても、立ち直れなかった。
事件が起こったのは、その数か月後。
マリンはあの日から初めて、学校に来た。
そしたら、いじめを受けた。
自分でもよくわけのわからないまま。
「お前の父親は、とんだ犯罪者だ!!」
そのことを聞いて、ますますショックは大きくなった。
町のみんなから徴収したお金を、ごっそりどこかへ持って行ったと。
父はそんなことするような人じゃないのに。
マリンは蹴られ、叩かれ…。
マリンはついに、不登校と化してしまった。
でも、僕は声をかけた。
「マリン…でておいで」
「親方…?」
マリンは部屋から出た。
そして、ギルドへと連れて行った。
「お母さんに話をして、今日からお前はここに住むということになった」
「なんで!?」
「お母さんも同じだ…大丈夫」
「なんで?」
「町にいたら、危ないじゃないか」
「…そうなの?」
「ここなら、ギルドのみんなが守ってくれるだろ?」
「うん」
「お前は一人じゃない」
友達はいなくとも、マリンはすくすくと育っていった。
いつも笑顔で、いつも明るくて…ポジティブなマリン。
でも、裏には悲しい過去を抱えてるんだ…
「イル君は…いじめていたのか?」
「いえ、クラスも違いましたし…でも、俺のクラスの人たちみんな、マリンのために何かしようって」
「優しいクラスもあったのか」
「えぇ…でもクラス替えで混ざっちゃったので…」
「そうか・・・」
「…親方、俺、マリンのために、何してあげればいいんですか…?」
「お前はな…いつも通り、マリンと接してくれればいい。友達としていてくれればそれでいい」
「…はい!!」
マリンは、俺が大切にする!!
マリンの心は…誰にも傷つけさせない!!
俺は、そう決意したのである。
「いってらっしゃーい」
今日はマリンは一人でお買い物である。
それで俺は何をしてるかといえば、まぁ…留守番だ。
はっきり言って具合悪いので、マリンには悪いけどのんびりここで過ごすことにした。
でもまぁ、イルもいるから大丈夫だろう。
「なぁおいノゾム」
「あ?」
「実はさ…俺、マリンと同じ幼稚園だったんだよな」
「え?」
「ほら、水タイプだし…アクアマリン幼稚園に通ってたんだ」
「そうなの!?」
「そんな驚くなよ」
「驚いたつもりは…」
「驚いてるって」
ニヤニヤとイルが笑った。
実際イルの体力もそこまで回復していないのでイルも留守番。
その時、俺たちの部屋のドアが開いた。
「ちょっと、入ってもいいか?」
親方だった。
「いいですよ」
と俺が答えた。
「マリンについての話をしたい」
「突然どうしたんですか?」
「マリンがいないうちに、と思ってね、盗み聞きなんてされてたら親方失格じゃん」
「すでに俺らに話してる時点で失格じゃないですか」
「まぁまぁ」
「なんでだよ!」
「…それでマリンの話っツーのは…」
「イル君、君はマリンと同じ幼稚園だったんだよね?」
「はい、小学校も同じでした」
「そこであったこと、知ってるかい?」
「もちろん。忘れてません」
親方はふぅ、と一息ついた。
「じゃあ君は知ってるのか。…で、ノゾム君には話さざるを得ないのか」
「…なんのことを?」
「マリンの身にあった事さ」
親方は話し出した。
マリンは、トレジャータウンに住んでいる子で、私もとても可愛がっていた。
幼稚園の頃は、友達も連れてきて、楽しそうだった。
小学校に入っても、遊びに来た。
父親はこの町の市長だった。
とてもおおらかで優しくて、ついでに僕の飲み仲間だった。
マリンは父親譲りの優しさに加えて、リーダーシップも取れる奴だった。
…そう、あの日までは。
《パアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァンン!!!!》
市長…すなわち、マリンの父は、ある日、町の青年に打たれて死んだ。
マリンは学校に行けないほど落ち込んだ。
あの人気だった父を殺す反逆者がいたこと。
そのことに大いに傷つき、悲しみ、恨んだ。
「…マリン、学校に行きなさい」
何度母に言われても、立ち直れなかった。
事件が起こったのは、その数か月後。
マリンはあの日から初めて、学校に来た。
そしたら、いじめを受けた。
自分でもよくわけのわからないまま。
「お前の父親は、とんだ犯罪者だ!!」
そのことを聞いて、ますますショックは大きくなった。
町のみんなから徴収したお金を、ごっそりどこかへ持って行ったと。
父はそんなことするような人じゃないのに。
マリンは蹴られ、叩かれ…。
マリンはついに、不登校と化してしまった。
でも、僕は声をかけた。
「マリン…でておいで」
「親方…?」
マリンは部屋から出た。
そして、ギルドへと連れて行った。
「お母さんに話をして、今日からお前はここに住むということになった」
「なんで!?」
「お母さんも同じだ…大丈夫」
「なんで?」
「町にいたら、危ないじゃないか」
「…そうなの?」
「ここなら、ギルドのみんなが守ってくれるだろ?」
「うん」
「お前は一人じゃない」
友達はいなくとも、マリンはすくすくと育っていった。
いつも笑顔で、いつも明るくて…ポジティブなマリン。
でも、裏には悲しい過去を抱えてるんだ…
「イル君は…いじめていたのか?」
「いえ、クラスも違いましたし…でも、俺のクラスの人たちみんな、マリンのために何かしようって」
「優しいクラスもあったのか」
「えぇ…でもクラス替えで混ざっちゃったので…」
「そうか・・・」
「…親方、俺、マリンのために、何してあげればいいんですか…?」
「お前はな…いつも通り、マリンと接してくれればいい。友達としていてくれればそれでいい」
「…はい!!」
マリンは、俺が大切にする!!
マリンの心は…誰にも傷つけさせない!!
俺は、そう決意したのである。
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