ある場所に、一匹のピカチュウが倒れていた。
もともとポケモンなんかじゃない、人間だったピカチュウ…。
その名はノゾム。
静かな砂浜へ、一匹のポケモンが歩いてきた。
「…ちぇ、また追い出されちゃったよ…別に一人でもいいんじゃないのかなぁまったくぅ…」
ぶつぶつとつぶやきながら歩いてきたのは、ペンギンポケモンのポッチャマだ。
「…ん?」
ポッチャマの視界に入ってきたのは、白い砂浜に倒れていた黄色いポケモンだった。
「…だ…大丈夫!?」
ポッチャマは素早く駆け寄って、ピカチュウの体を揺らす。
「…うぅ…」
目を覚ましたノゾム。
「…大丈夫…?」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!??????!?」
ピカチュウは大きな声を出した。
「しっ!!」
ポッチャマが黙らせた。
「…ところで君さ、なんでこんなところに倒れてたの?」
「…え?」
ピカチュウはきょろきょろする。
「…うぅーん・・・覚えてない」
「どこに住んでるの?」
「・・・覚えてない」
「どうしてここにいるの?」
「・・・覚えてない」
「名前は?」
「…ノゾム」
「ノゾム?あ、僕はポッチャマのマリン!!」
「…ってぎゃああああああぁぁぁぁぁぁああああ!!」
「どうしたの?」
「ポケモンがしゃべってるぅぅ!!」
「なに言ってんの?喋るでしょ」
「いや、俺は人間なんだよ!!」
「ニンゲン?なにそれ」
「・・・え?」
ポッチャマがきょとんとした顔でノゾムを見つめる。
「…俺…まさか…ポケモンになっちゃった…!?」
「…みたいだね」
マリンはよくわからないというような顔をして、でも一応肯定した。
「ところで、マリンて名前女の子みたいだね」
「…失礼だね、僕は女の子だよ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
何回叫んだことか…。
「この後どうするの?」
マリンはもろにノゾムの驚きをシカトして、今後について聞いた。
「どうしようもないよ…」
「じゃあさ、探検隊やらない?」
「なにそれ」
「探検隊だよ!!まぁ詳しくは後から説明するから!!ギルドいこっ!」
「えぇぇ?」
ノゾムはマリンに連行された…。
| 22:49
コメント